GLP担当者養成講座 第10回Advanced Course
QAUスキルアップトレーニング 開催報告

02-03期教育委員会
(財)食品農医薬品
安全性評価センター
柴田 典昭

 日本列島がこの冬一番の寒波にみまわれた2004年1月22日と23日の2日間、静岡県浜松市のアクトシティ浜松研修交流センターにてGLP担当者養成講座 第10回 Advanced Course を開催いたしました。前回同様テーマをQAUのスキルアップとし、QAU業務に携わる上で避けて通れないような状況に直面した事態を想定した演習問題についてグループ討議を行い、その結果として出された回答についてベテラン講師陣により解説いただくというスタイルで実施いたしました。なお、今回は、よりよい指摘の方法を現場に近い状況で学んでいただくために、新しい企画としてRole Playing方式を導入いたしました。
 当日の受講者数は48名で、内訳はGLP適用試験のQAUの方36名、信頼性基準適用試験のみのQAUの方6名、その他の業務(QC、試験責任者、検査担当者)の方6名でした。
 講座のプログラム、講義内容の概略は以下のとおりです。

第1日目:1月22日(木)
開講挨拶 (田飼 俊宣 教育委員長)

GLP一般情勢報告 (橋爪 武司先生(第一製薬(株))

オープニングレクチャー 「現場調査の重要性について」(橋爪 武司先生(第一製薬(株))
 受講者の方に本講座の眼目であるグループ討議をスムーズに進行させるための理解を深めていただくこと、ならびに信頼性確保に繋がる現場(生データの発生場所)における調査の重要性を再認識していただくことを目的としてオープニングレクチャーを実施いたしました。

セッションI 「調査の観点・展開」(井筒 稔先生(株)ボゾリサーチセンター)
 現場調査時に遭遇する可能性のある問題点あるいは問題に発展する可能性のある状況を4つの演習問題として設定しました。QA担当者としてどのような観点で調査を行い、問題を見出すための理論の展開についてグループ討議ならびに発表を実施していただいた後、講師の先生による解説、質疑応答形式のディスカッションを行いました。

セッションII 「よい指摘方法 Role Playing」デモンストレーションおよびグループ討議
 3つの演習問題には、その施設に所属しているQAUとしては指摘しにくい問題点あるいは問題に発展する可能性のある状況を設定しました。たとえば、実験を実施する上では常識とされている基本的な操作手順であるがために今まで文書化されていなかった手順を見出した場合などです。このような状況で、試験実施部門を納得させて問題点を改善するために、こちらの意図するところを理解してもらい、かつ双方が合意できるような結論を導く上でどのような観点・理論・方向性に基づいた討論が効果的であるのかを学んでいただきました。このセッションには今回が初の試みであるRole Playing方式を導入しました。最初に講師の井筒先生と教育委員との模範的(?)デモンストレーションを披露した後にグループ討議に入り、討議が終わった時点で第1日目が終了し、白熱の討議は2日目のお楽しみとなりました。

第2日目:1月23日(金)
セッションII 「よい指摘方法 Role Playing」グループ発表・解説
(橋爪 武司先生、井筒 稔先生、野村 章先生)

 さて、いよいよRole Playingの始まりです。QAU役、試験責任者役をグループ毎に交代で演じ、現場さながらの緊迫した討議がおこなわれました。討議の際には他のセッションと趣を異にし、発表者の方だけが前に出るのではなくグループメンバー全員に発表者の後方でサポートするために待機していただきました。受講者の方々は常日頃このような状況下でご苦労なさっておられるせいか、ご自分の役割を芸達者に演じておられました。講師の先生方による解説では、試験の信頼性確保が一番の目的であるから、そこを念頭におきつつ試験責任者の主張と、QAU側の指摘の「落としどころ」を見つけることが重要であるとのことでした。
 受講者アンケートの集計結果では、QAUと試験責任者の両方の立場で意見・主張を考えることができたことが非常に役立った、という主旨のご感想を多数の方よりいただきました。

セッションIII 「よい指導&是正措置事例の検討」(野村 章先生)
 このセッションでは、QAUの指摘事項とそれに対する試験責任者の回答を4つの演習問題として提示しました。グループ討議では各問題のGLP適合状況を検討し、より信頼性を高めるためにはどう指摘し、試験実施部門からどのような回答を導くようにすればよいのかということを目的として検討いただきました。

セッションIV 「総合問題」:(野村 章先生、橋爪 武司先生)
 このセッションでは、GLP施設全体の信頼性保証という観点から、QAMによるレポート作成という形式で施設の問題点ならびにその改善点についてグループ討議・発表が行われました。最終セッションなので疲労の色がみえている受講者の方々もおられ、また討議時間が少々短かったにもかかわらず、各グループともポイントを的確におさえた
 発表をされていました。また、アンケートでもQAU担当者としての視野の広さ/総合力が問われるのでよかったというご意見もいただきました。

 
 グループ討議の円滑な進行に貢献された各グループの進行役の方にはこの場を借りてお礼を申し上げます。
 また、快く講師を引き受けていただきました先生方には、ご多忙の折にテキスト作成ならびに教育委員との事前ミーティングなどに貴重なお時間を割いていただき、心より感謝いたしております。
 
 受講者の皆様には、講座スケジュールの合間を縫ってアンケートにご回答いただきました。
 アンケート結果は概ね受講してよかった、役に立ったとの意見が多く、企画・開催した側として胸をなでおろしております。しかし、一部ですが、ご批判いただいた点もあり、今後の検討課題としたいと考えております。ありがとうございました。
  以上

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