GLP担当者養成講座 第13回Basic Training Course 開催報告

教育委員会 GLP教育検討班
丸石製薬梶@松永秀光

はじめに
  今期から教育委員会は下部組織として GLP 教育検討班と GCP 教育検討班とに分かれて活動することになり、今回の “ GLP 担当者養成講座 Basic Training Course (以下、養成講座)”開催は、 GLP 教育検討班としては初めての活動となりました。
  講座内容や開催方針等については、例年開催している養成講座を引き継いだものですので、実質的には今回で 13 回目の養成講座開催となります。
  今回の養成講座は、 平成 16 年 11 月 4 日、 5 日の 2 日間にわたり、浜松 ACT CITY 研修センターで開催されました。
  開催にあたって、 QAU としての実務経験 2 〜 3 年の方を受講対象者として開催案内を配信したところ 72 名の参加希望がよせられ、例年どおりの大規模な講座となりました。その内訳は、 QAU 57 名、試験関係者( SD 等) 9 名、 QC 3 名、 GCP 関係者 3 名です。
  今回の養成講座も今までと同様に、 1)QAU の役割と責任、 2) 試験計画書の調査、 3) 現場の調査、 4) 生データの調査および 5) 最終報告書の調査の5つのセクションについての講義が行われ、演習問題も盛り込むことによって単に聴講するだけではなく、受講者が理解しやすい講座を心掛けました。
  更に昨年の開催経験を活かし、全講義終了後の質疑応答( 90 分)に加え、それぞれの講義終了後にも質疑応答の時間( 15 分程度)を設けることにより、受講者の質問をより多く受けることができるように時間配分いたしました。
  講座のプログラム、講義の概要等は以下の通りです。

11 月 4 日 ( 木 )

開催挨拶  ( 三浦 昌巳 教育委員会委員長 )

GLP 一般情勢報告  ( 野村 章  GLP 部会長 )

講義「 QAU の役割と責任」  (( 元 ) 第一製薬梶@橋爪 武司 先生 )
  QA と QC の相違についての講義から始まり、 QAU の業務、活動、目的および必要性についてわかりやすく解説していただき、その上で信頼性保証の方法や GLP ・ QAU の科学性に関する事項まで講義が及びました。
  今回の講義を聞いた受講者の方々は、信頼性の要の一つは QAU であること、これからの GLP ・ QAU には科学性も必要であること、また、 QAU として何が必要であるのか等を理解されたことと思います。

講義「試験計画書の調査」  ( 田辺製薬梶@安成 千津 先生 )
  試験計画書調査の根拠と必要性や調査手順についての説明に加え、試験計画書作成に関する留意点をガイドブックの Q&A を参考に解説されました。
  また、安成先生のご経験に基づく GLP 適合性調査の事例や機構の調査員とのやり取りなどもまじえ、講義をしていただきました。
  更に、試験計画書調査のポイントについて詳細に列記し、内容についての説明も加えられました。
  講義の最後には、演習問題についてわかりやすく解説され、様々な質問にも的確にご回答くださり、受講者としても満足のいく講義内容だったと思います。

11 月 4 日 ( 木 ) ・ 11 月 5 日(金曜日)

講義「現場の調査」  ( 潟xネシス 山添 武司 先生 )
 現場調査に関係する GLP 省令を挙げられ、現場調査の意義と重要性、試験調査と施設調査の説明、実施例と留意点を詳しく解説されました。
  更に調査の種類、手順および留意点についても説明を加えられ、現場調査と SOP の関係についても言及され、講義の最後には演習問題を用いた解説もしていただきました。
  本講義は、時間の関係で 2 日間にまたがることになり、受講者は勿論、講師の山添先生は頭の切り替えが困難だったのではないかと思いますが、体系的に構成された講義内容であったことから、受講者にはわかりやすく好評であったように思います。

11 月 5 日(金曜日)

講義「生データの調査」  ( 小野薬品工業梶@飯島 義次 先生 )
  GLP 省令において、生データは最終報告書の再構成のために重要であることおよび生データの種類について説明された後に、具体的な調査方法やポイントについて解説されました。
  また、生データに関する指摘と指導の事例を挙げられ、 GLP 適合性調査の変遷についても触れられ、講義最後の演習問題では、身近にあり得る問題を列挙され、受講者の方々も今後の QAU 活動に大変参考になる演習であったのではないかと思います。

講義「最終報告書の調査」  ( 竃物安全性試験センター 松本 信太郎 先生 )
  最終報告書を調査するにあたっての QAU の視点、最終報告書の信頼性保証のためのシステムおよび最終報告書に要求される事項について解説され、 GLP 省令に基づいた最終報告書の作成について講義をしていただきました。
  更に演習問題では、受講者からも多くの質問がよせられ、全ての質問について一つ一つご回答いただき、活発で有意義な講義内容であったと思います。

質疑応答( 90 分)
  受講者から各講義における疑問点などを質問用紙に記載し提出していただきました。
  質疑応答の直前に提出された質問が多く、講師の方々は即時回答していただくしかなくご迷惑をおかけ致しましたが、担当講師の方は勿論、他の講師の方々も迅速に対応していただき、よせられた質問全てについて複数の講師の方々より解説していただくことができました。
  また、今回は講師としての参加ではありませんでしたが、 GLP 部会長の野村先生にも幾つかのご回答をお願いし、様々な方の考え方を聞くことができた質疑応答であったと思います。

まとめ
  Basic Training Course は毎回、講師の方々の豊富な実務経験と知識を基に講義していただき、受講者の啓蒙と GLP 担当者の学習の場として開催しております。
  本養成講座では、毎年活発な質問が飛び交うのが常なのですが、今回参加された受講者の方々も例に違わず、自分の意見をしっかりと発言できる方が多かったようで活発な講座となりました。
  また、初日( 11/4 )の夜に開催した懇親会では、講師からの一方向になりがちな講義を補うかのように、講師と受講者の方々および受講者間のコミュニケーションが図られ、にぎやかな懇親会となりました。
  今回、“講義で得た知識”と“懇親会で得た人脈”は、受講者の皆様方にとって、今後業務を行う上での大切な財産になることを願っております。
  最後に受講者の皆様には、タイトなスケジュールの中、アンケートにご協力いただき誠にありがとうございました。皆様のご意見を参考に今後の養成講座のバージョンアップに努めていきたいと思います。
  なお、快く講師を引き受けていただきました先生方には、ご多忙中の処テキスト作成などにお時間を割いていただき、心より感謝を申し上げます。


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