
日本QA研究会(JSQA)は第Ⅹ期(2010年4月~2012年3月)に入りました。構成するGLP、GCP、製造販売後の3部会はそれぞれ部会長、役員も定まり、各活動テーマと参加者も確定して、それぞれの活動に入っております。
今期活動の特色として、国際交流のより一層の増加が予測されます。まず第1は、2005年より3年毎に開催されている「グローバルQA会議:GQAC」の
第3回目(3rd GQAC)をJSQAが主催して、2011年11月13日(日)から16日(水)まで国立京都国際会館で開催する計画です。この準備は第Ⅷ期からスタートし、共催者である米国QA研究会(SQA)及び英国QA研究会(BARQA)とのInternational Steering Committeeにおける検討を重ね、会議の主テーマ、主なSessionの計画・運営について合意の下、3極での協力体制を強化し、現在3rd GQAC Steering Committee(国内)及びプログラム委員会が準備を進めております。
次に、Asiaにおける交流の進展が考えられます。2010年3月に新潟で開かれた合同部会総会に中国QA研究会の王秀文会長が来日され、JSQAとの間に親密な関係を推進するためのMOU(Memorandum of Understanding)を締結する準備が進められております。更に、韓国及び台湾の各QA研究会とも長年に亘って良好な関係が進んで居ります。これらの活動を軸にして、3rd GQACではアジアの各国を中心としたAsian Session のプログラムも検討されております。
我々が日常の業務として担当している、重要な試験成績等の信頼性保証(QA)について、このような国際的活動を通して得られたGlobalな見地からの解釈と評価は、QA研究会において行っている日頃の調査・研究の成果をまとめて行く上でも重要な基準の一つになるもので、QA業務のより一層の進展に資する事を目指しております。
QA業務の近未来について医薬品のGLPを例に第Ⅸ期を振返り、第Ⅹ期を考えてみますと、QAによる試験報告書の信頼性保証は、わが国の医薬品GLPガイドラインが平成9(1997)年に厚生省令として告示され、11年を経た平成20(2008)年に「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令の一部を改正する省令(平成20 年厚生労働省令第114号」によって大改正が行われました。これによって、OECDのGLP ガイドライン(OECD-GLP)との調和も採られました。一方、FDAでも類似の動きがあり、日、米、EUがOECD-GLPにまとまる動きになっていると言えるでしょう。
また、医薬品の承認申請書に添付する試験報告書の作成、まとめ方に関する 「試験法ガイドライン」については、1990年に当時斬新な新薬を多く開発していた 日、米、ECによりICH(International Conference on Harmonization of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use)が結成され、各国・地域の規制当局と製薬団体(計6団体)が一堂に会して、ガイドラインの統一化を進める会議がスタートしました。この国際会議は大きな成果を挙げ、多くのICH調和ガイドラインが作成されて、各国・地域で使用されております。現在ではGlobal Dossierによる同時申請を目指した開発も行われていると伺います。
このように試験法ガイドラインが調和され、一つになれば、国際的に見て医薬品の承認申請に使用される試験報告書の信頼性を保証するQA業務も更に調和さ れる方向が考えられます。加えて、承認申請書に添付する各試験報告書のまとめ方を示したICH調和ガイドライン「Common Technical Document(国際共通化資料)」に従って作成される概要についても、現在、QAが信頼性を調べている申請者が多いと伺っております。これらを合わせますと、今後は要求されるQA業務の内容、質、レベルの改新が予測されます。
このように、今迄の活動に加えて今期は海外との交流が質、量ともに増加すると予想されます。これに適切な対処を行うと共に、得られた知識、情報等も十分に吟味の上、研究成果として今後の活動及び業務に活かして行ければと考えております。
日本QA研究会は会員のQA業務を通して、有効性及び安全性の評価に用いられる試験報告書の信頼性を保証することにより国民皆様の健康を祈念しております。
日本QA研究会会長 髙 仲 正
国立衛生試験所安全性生物試験研究センター薬理部長を経て、現在、昭和大学薬学部客員教授。
日本健康食品規格協会顧問、医薬品開発基礎研究会幹事、健康食品の安全性確保に関する第三者認証協議会委員。