GCP監査担当者のBasic Training Course活用方法に関する一考察

教 育 委 員 会
中外製薬(株) 渡辺 園子

 日本QA研究会の常設委員会の一つである教育委員会では平成4年から毎年新人GLP QAUを対象としたBasic Training Courseを開催しており、これまでに12回の研修会を行ってきました。
 研修対象に設定しているのはGLP QAUに新しく配属になった新人さんですが、受講者の範囲は年々広がってきており、今では現場で実験を担当される方と信頼性基準のQC/QAを担当される方が各々約1割参加されています。また、数は少ないもののGCP監査担当者の受講も見られます。

 私はGCP監査担当者ですが、研修会の準備をGLP担当者の委員と一緒に進める中で、GCPとGLPに「共通するモノの考え方」があるということを肌で感じてきました。
 本稿では、GCP担当者の皆さんを対象にBasic Training Courseに参加することによって得られるメリットを紹介したいと思います。

 まず初めに、Basic Training Courseの内容について触れますと、1泊2日(午後+全日)の集合研修形式(70名程度)で開催され、カリキュラムは以下のような構成になっています。
 『一般情勢報告』(トピックス紹介)、『QAUの役割と責任』(GLP QAUの基本になる考え方の紹介など)の講演後、試験の流れに沿って、『試験計画書の調査』、『現場調査』、『生データの調査』、『最終報告書の調査』の講義が行われています。
 講義内容は調査(GCPでいうところの監査)の実施方法、考え方などについての説明が主体になっており、QA研の会員から経験豊富な方たちが交代で講師を担当してくださっています。1回の研修会では大体5〜6名の方に講師としてご参加いただいています。

 上記の項目は、GCP監査における『治験実施計画書』、『医療機関』、『症例報告書』、『治験総括報告書』の監査と置き換えて考えていただくとイメージしやすいでしょう。  GCPとGLPでは発生する事例や根拠法令は異なりますが、どちらも人間が行っていることであり、問題が起きる背景やその対処方法(是正処置、再発防止策、予防処置など)は、GCP、GLPとも共通の考え方が出来るものです。Basic Training Courseの講義には、どのテーマの場合も問題に対する是正処置や再発防止策等の考え方が含まれているので、GCP監査担当者にとって身近な事例に置き換えることにより、非常に参考になるのではないかと思います。

 GCP監査担当者が当コースを受講するメリットとして考えられるのは、研究機関の実態を知ることにより、臨床検査受託施設(いわゆるラボ)の監査を実施する場合の留意点を知ることができるということです。実際過去に参加されたGCP監査担当者の方が受講された動機も臨床検査受託施設の監査のためだったということです。臨床検査受託施設ではGLPあるいは信頼性基準に対応したシステムで検査を実施していますので、GCP監査はベテランでもGLPには門外漢という方にとって、Basic Training Courseは入門としてまさに打ってつけとなるのではないでしょうか。
 また、経験豊富な講師の方に直接質問できるということもメリットとして挙げられるでしょう。
 ところで、本稿のテーマからは外れますが、各社のGLP担当者の方と直接突っ込んだ意見交換をしたいとお考えの方は、Advanced Courseを受講されるとよいかもしれません。こちらのコースはある程度経験を積んだGLP監査担当者が対象になっておりますので、普段聞けないような情報もグループワークや懇親会の席で得ることができると思います。

 過去の開催記録を知りたい方は日本QA研究会の会報をご覧ください。また、2003年7月に開催された当コースの開催報告はこちらからご覧になれますのでぜひご参照ください。

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